ポンコツ弁護士に相続手続きを頼んだら約300万円の損をしかけた話
——弁護士との長い交渉記録【第3話】
第3話|「弁護士賠償責任保険」という光明
私が強く抗議を続けた結果、2024年5月、K弁護士がある提案をしてきた。
「弁護士賠償責任保険を使う方向で検討します」
弁護士賠償責任保険——聞き慣れない言葉だった。弁護士が業務上のミスによって依頼人に損害を与えた場合、保険会社が賠償金を支払うための保険だ。医師で言えば医療賠償責任保険に相当する。
最初から謝罪とともにこの提案があったわけではない。最初は説明もなにせず、こちらに支払いさせようとしていた。(この点に関しては相当悪質だと思っている。)私が「打開策を見つけてください、責任をとってください」と何度も強く求め続けた結果として、ようやく出てきた選択肢だった。
K弁護士は弁護士賠償責任保険に入っていたJ損害保険会社に申請し、保険金が下りそうだという報告を受けた。私はそれまで、K弁護士の落ち度がひどいと思っていたのだが、実はこれくらいの過失はやむを得ないものだったりするのかもしれないという懸念は持っていた。しかし、第三者の保険会社が見ても、補償対象とされるほどの「やらかし」だったことがはっきりした。
もつれる保険会社との交渉
一筋の光明が見えたと思った。しかし、ここからの戦いがまた長かった。。
保険会社は「審査会」を設けて、K弁護士の有責性と損害額を審査する。K弁護士側が保険会社に主張書を提出し、審査会が判断を下すという流れだ。
ここでもまた、K弁護士のポンコツっぷりがさく裂する。
保険会社は、主張書とK弁護士への聞き取りをして、保険金の支払金額を決めるのだが、今回のケースだと満額は保険金が出ないという。
そして、審査会の結果を報告するのみで、これで進めていいですか?というのみで、保険会社にたいして、少しでも補償額を多くしてもらう努力を何もしないのだ。(※この時は保険会社の補償金額がこちらへの補償額と考えていたので、私も頑張ったのだが、別にK弁護士がこちらに払う補償額とはまた別なので、あとあと考えると私がそんなに骨を折る必要はなかった。。しかし、それだと弁護士がこちらに確認を求めてくるのもおかしな話だが)
審査会での保険会社の見解について、私の方でも主張内容を考えて、K弁護士に指示を出し始めた。
なぜ満額でないのかというと下記2点の問題があった。
問題①:解体費用を損害から差し引くかどうか
保険会社側の最初の見解はこうだった。「依頼人の損害は、控除が受けられなかった税金額から解体費用を引いた金額ではないか」——つまり、「空き家控除」を受けるためには、建物を解体して、更地にしてから売る必要があったわけだが、その建物解体にかかる費用(約130万円)を損害額から差し引こうとしていた。
私は異議を唱えた。
「築50年以上のぼろ家にそのまま住む人がいるとは考えられず、解体するしかない。解体して更地になれば、(買った人は更地費用がかからなくなるので、)土地の価値は上がります。解体費用を差し引くなら、解体によって上昇した土地の価値の増加分も加味するべきです。
この主張を盛り込んだ不動産業者の意見書を取得するようにK弁護士に指示した。不動産業者は快く応じてくれて、実際の解体費用の見積もりも入手して、追加の主張書を提出させた。
問題②:駐車場の面積をいかに小さくするか
問題①に関する主張書を保険会社に提出して、審査をしてもらった。なお、審査は月1回なので、このように異議を申し立てたりすると結論がでるのに最低1か月は伸びてしまう。
保険会社から新たな見解が示された。「土地全体ではなく、駐車場として貸していた部分だけが空き家控除の特例の対象外と考えるべきではないか」というものだ。
保険会社もいろいろ考えるものだ。なるほどと思いながら、そうなるとできるだけ駐車場の面積を小さく主張しないといけなくなる。駐車場として認定される面積が小さければ小さいほど、空き家控除の特例が適用される割合が増え、最終的な補償額も上がる。
K弁護士が提示してきた駐車場の面積は約22㎡。根拠は不動産資料の幅から計算したものだった。しかし私は疑問を持った。
「その面積の根拠は何ですか? 貸借契約書に面積は記載されているんですか」
確認すると、解消合意書には家屋全体の面積しか記載されておらず、駐車場の面積は定められていないことがわかった。つまり、K先生が提示していた22㎡は、あくまでK先生の推測に過ぎなかった。
「できるだけ小さい面積で主張してください」
私がそう指示すると、K先生は最初、強く拒否した。「審査会が判断するものを無理に主張してもしかたがない」というような理由だった。
……待ってほしい。無理かどうかを判断するのは審査会であって、あなたではない。依頼人の成年後見人という立場であれば、可能性がある限り依頼人に有利な主張をするのが筋ではないのか。
私は再度、強く求めた。そして、当時駐車していた車種の車体サイズを基準に、最小限の駐車スペースから計算した面積での主張書を提出させた。
また、K弁護士とやりとりしているうちにそもそも駐車場の「賃貸借契約」は有効だったのかという点も主張してみるべきだと考えるようになった。
いろいろ相談できる窓口などがないか調べたところ、「近畿税理士会」に電話相談窓口があるらしい。自分で問い合わせたところ、こんな回答を得た。
「もともと口約束のみで契約書もなく、月3000円という少額の対価という状況のままであったならば、これが『貸付の用』にあたるかどうかは税務署の担当によって判断が分かれる可能性がある。また、相続に詳しい税理士が担当していれば、今回の控除の条件の争点について、区役所に被相続人居住用家屋等確認書の発行を依頼することで、問題なく控除が受けられた可能性もあるのではないか」
もちろん電話相談の範囲での話であり、「可能性がある」というレベルの見解だ。電話の先の税理士もあくまで、税務署がどう判断するかなので、参考程度に聞いてほしいと再三念押ししていた。しかし私にとっては大きな材料だった。
「賃貸借契約は無効であった可能性があったというところから議論を開始して審査するように主張してください」
この主張もK弁護士に伝え、主張書に盛り込むよう求めた。






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